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塗説録

愁いを天上に寄せ、憂いを地下に埋めん。

潜夫論の讃学第一を一気にすべて訳した。
潜夫論
https://wjn782.garyoutensei.com/kanseki/senpuron/main.html



 長らく凍結していた潜夫論の翻訳を再開。これまでのものも頭から全部訳しなおした。

 私としては、王充、王符、仲長統ら後漢三賢の著作を訳すことで、荀子の学統が如何に後世に影響したかを明らかにしたいと考えている。もともとそこまで大逸れた話をするつもりはなかったのだけど、この訳に手を付けてから二年以上が過ぎて、私自身の考えや認識にも深化があった。

 荀子というと、韓愈から宋明理学に至るまで、儒教の中興に及んだ時期に孟子の再評価とともに批判された人物であるというイメージがあるけど、漢代の儒学において大きな影響力を持った荀子の学統が、無意識のうちに唐代から宋代、明代に至る儒学に影響を与えていたのではないか、そのように私は考える。

 というのも、訳してみると王符の潜夫論、明らかに荀子の影響が色濃い。今回訳した讃学第一も、ほとんど荀子が勧学篇で述べる仮物論や師論の説明や発展形と言って差し支えない。王符を後漢三賢と顕彰したのは韓愈だし、それを批判的なものを含め引き継いだのが朱熹をはじめとする宋明理学で、それ以降の展開に連続性があるんじゃないかなーってのを検証したいなって。
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