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塗説録

愁いを天上に寄せ、憂いを地下に埋めん。

ConfucianAnalectsの日本語訳コーナーを設置して前文の訳を掲載したけど削除した。

 一昨日、エズラ・パウンドの英訳した論語(ConfucianAnalects)の日本語全訳コーナーを開設し、手始めに扉書と前文の日本語訳を掲載したのだけど、私の方がめちゃくちゃ初歩的な著作権の現行法制についての勘違いをしていたので昨日削除した。ってまあ、要は2018年に日本における著作権の保護期間が作家の死後50年から70年に延長していたのをすっかり忘れていた……という話である。エズラ・パウンドは50年前に死去した人物。やってしまった。

 この時点でアップしていたのは、前文の訳だけなので法的には問題ないと思うのだけど、さすがに全訳コーナーを設置していること自体(法的に問題なくとも)法理念的にお行儀のよろしいことではないので、コーナーごと前文の訳は一旦ウェブ上から削除。

 それとアメリカでも法改定があって著作権保護期間が発表から95年(!)となっており、ウェブ上でのアップロードは日本国内での出版以上に法的な問題を孕む可能性が生じるので、日本語訳とはいえ更にグレーゾーンの黒味が増してしまう。

 というわけで、全訳の企画を取りやめ、アップロードした前文の訳は予告なしですべて削除したわけですが、前文の訳については、それに限定して別の形式で、自分なりの解釈とコメントとともにどこかに本の紹介の意味を込めて掲載できればと思っています。あの内容は論語を読む上で、そして論語解釈のひとつの視点として、非常に示唆に富む内容なので。

 エズラ・パウンドというのは現代アメリカ最高の詩人と評され、同時に反ユダヤ主義のファシストでもある……というクソみたいな人物。詩において論語をはじめとする四書五経をよく引用している。第二次世界大戦でのアメリカ参戦を批判していた関係で反戦詩も詠んでおり(その際にも孟子の「春秋に義戦なし」の語を引用している)反戦詩家として再評価する向きもあるが、パウンドにファシスト陣営のユダヤ人弾圧や日本の中国侵略を大小肯定する言辞があることから、そのような肯定意見への反論も強く存在している。(当然のことだろう。)

 それと原著のamazonリンクを掲載しておきます。面白いのでフツーにオススメ。
https://www.amazon.co.jp/Confucian-Analects-Ezra-Pound/dp/125801856X

 もう乗り掛かった舟だから私が遺族から許可もらって全訳して出版社を探そうかな、という気にもなっている。どうしようかな。

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